財務DDを依頼する時のポイント

duediligence
事業会社がM&Aを実施するとき、監査法人や公認会計士事務所に対象会社の
財務デューデリジェンス(財務DD)を依頼することが一般的に行われています。

財務DDには2つ目的が有ります。1つは対象会社の財務諸表が適正であるかど
うか確認すること。もう1つは株主への説明責任を果たすため。外部の専門家
によって財務状況をしっかり調査することが経営陣の善管注意義務として求
められているからです。

会社が財務DDを実施するとき、多くの場合、監査法人や公認会計事務所へ依
頼します。彼らの主な作業は、貸借対照表の勘定科目をチェックすることで
す。例えば、不良在庫・滞留債権・簿外債務が無いかを調査します。

わたしたちは投資銀行でアドバイザーとしてDDを大手監査法人に依頼し、事
業会社で財務DDを外注し、また実際に監査法人でDDを実施した経験上、会計
士によって出来上がってくるレポートには3つ問題が有ると考えています。

問題その1.PL分析
公認会計士はビジネス経験が乏しいため、対象会社の利益構造やKPIを分析す
るスキルがありません。つまり、財務DDと言っても、PL項目についてはほとん
ど見ません。ましてや繁忙期でベテランがいない場合は、小さな案件について
は経験の少ない若手会計士がメンバーのほとんどを占める場合もあります。

問題その2.買収効果
公認会計士はどのような目的で対象会社を買収して、運営していくかについて
関心がありません。従って、統合する事による効果(シナジー)、例えば間接
人員やシステムが重複するから削減したらどれくらいになるかについてシミュ
レーションして数値化をしてくれることはありません。

問題その3.税務リスク
監査法人のDDチームの場合、税務に詳しいメンバーがいないケースがあります。
別表はチェックしますが、ビジネス取引自体に関する税務リスクを見つけ出す
ことを期待することは出来ません。

財務DDを発注する側としては、「レピュテーションリスクがあるから大手監査
法人に頼めば安心」「どこに頼んでも同じだろう」と思っているケースが見受
けられますが、チームメンバーの経験とスキルで選ぶ方がいいと思います。

財務DDを依頼する時のチェックリスト
1.チームの責任者は業界に詳しいですか?
2.買収後の統合案を一緒にシミュレーションしてもらえそうですか?
3.税務に詳しいメンバーが入っていますか?

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