M&Aアドバイザーの選び方

manda
「そろそろ、いいかなと思って」「後継者がいない」
「いいオファーがあったから」
「事業を売却したキャッシュを元手に新しい事を始めたい」

創業者が事業を売ってみよう!と思うのには様々な理由があります。

事業の売却を考えた時、自力で買手を見つけてきて交渉できる場合
を除けば、M&Aアドバイザー(FA)を雇って、売却先を探して交渉して
もらいます。

不動産の売却とは違って、M&Aアドバイザーと契約する時は、通常、
契約期間中は独占契約となります。つまり、独占契約を結ぶと同時
並行的に複数のアドバイザーをつけることはできません。

これは、売手のアドバイザーが買収に興味がある会社を見つけて話
を進めていたら、急に別の会社が買収することが決まって、売手の
アドバイザーがそれを知らされておらず、トラブルになるというよ
うなケースを防ぐためです。

したがって、はじめにどのアドバイザーを選ぶかは重要です。

さて、どの会社に頼めば良いのでしょう?

顧問税理士・公認会計士に相談しますか?
取引銀行に聞きますか?
売却に成功した知り合いの経営者に紹介してもらいますか?

まず、M&Aアドバイザリーサービスを提供しているプレーヤーを知り
ましょう。大きく5つに分かれています。

1.外資系投資銀行
2.国内証券会社
3.都市銀行
4.独立系M&Aアドバイザー
5.個人

1.外資系投資銀行は、クロスボーダー案件(海外との会社とのM&A)
や1,000億円以上の大型案件が中心です。

2.国内証券会社は上場会社のM&Aを中心に取り扱っています。

3.都市銀行は、専門のM&Aチームがあり、主にメインバンクに
なっている会社の案件を扱っていて、基本的に大手企業および
関連会社のM&Aが中心です。

日経新聞の一面に出るような大型M&A案件は、外資投資銀行や
証券会社、銀行が関与しているケースがほとんどです。

4.独立系M&Aアドバイザーは、レコフの様に老舗で独自のネッ
トワークを持っている会社、日本M&Aセンターやストライクの
ように税理士を組織化している会社、M&Aキャピタルパートナーズの
ように営業が強い会社、業種に特化している会社、監査法人系FAS
出身で公認会計士が中心となって企業評価をメインに行っている会
社、といろいろあります。

5.個人で行っている方は、元々、証券会社や銀行でM&Aをやって
いた方、個人のネットワークを使って斡旋している方を含めて結
構様々なバックグラウンドの方がいらっしゃいます。特に資格が
ある訳でもないので、個人でやってるお見合オバサンみたいなも
のだとお考え頂ければわかりやすいかと思います。

例えば、当社のクライアントは、IT系企業が多いのですが、上場
していない場合は、それほど大きな案件ではないので、銀行や独
立系のM&Aアドバイザーに頼む事が多いそうです。

さて、次に、この中でどこ頼めば良いのでしょうか。

わたしは、自社について2つ、アドバイザーについて2つ、合計4つ
のことを把握すれば、会社にとって一番ベストなアドバイザーを選
べると考えています。

1.自社について

A.買い手候補を想定しよう。
・同じ業界の最大手の会社が興味を持ちそうなのか?
・それとも、自社の事業分野を魅力に思っている会社なのか?
・個人の富裕層が趣味でやるのに良いのか?
いずれにしても、買い手候補の意思決定者にアクセス出来るアドバ
イザーを選ぶ必要があります。銀行のネットワークは広くて魅力的
ですが、業界が絞られているなら個人でも意思決定者にアクセスで
きるアドバイザーが良いでしょう。

B.サイズ感を考えよう。
安定的に利益が出ている場合は、業績の伸びや業種によって変わり
ますが、相場としては、

EBITDA(償却前営業利益)の3から7倍+(現預金-借入金)

が、おおよその売却金額になります。この金額が3億円以上あれば、
銀行も対応してくれると思いますが、1億円以下ですと案件サイズ
が小さいから対応してくれないかもしれません。案件サイズで成功
報酬が変わるのですが、労力は案件サイズに関わらず同じなので、
あまりサイズが小さいと取り組む事はしません。

2.アドバイザーについて

C.フィー体系を知ろう。
着手金と成功報酬があります。着手金はマーケティングするための
コストですが、アドバイザーからすると、売手が真剣かどうかが解
る一つの目安にもなります。買い手候補が居るかどうかわからない
のに払いたくないという場合は、買い手候補リスト(ロングリスト)
を見せてもらうか、着手金を取らない会社を探しましょう。

成功報酬は、レーマン方式と言われる手数料体系を採用するか、5
億円以下の場合は一律5%というように料率を固定している場合もあ
ります。

また、これはとても重要な事ですが、基本的にM&Aは売手と買手の
利害は対立する(売手は高く売りたい、買手は安く買いたい)ので、
アドバイザーは売手あるいは買手のどちらかにつくべきです。ただし、
不動産の売買のように両方からフィーを請求する会社も実在します。

D.業務の範囲とスキルを理解しよう。
優れたM&Aアドバイザーを頼むと、経験豊富で、交渉能力、企業評価、
ストラクチャー、スケジュールとあらゆる業務・スキルにも長けてい
ます。そのような方は、例え買収先に一流の投資銀行がアドバイザー
がついていても、海外の会社が相手でも、案件を成功させる事ができ
ます。

ただし、独立系アドバイザーの中には、株の譲渡しかした事が無くて、
株式交換・退職金の設定・海外取引という話が出て来ただけで、専門
家任せにしてしまう方も居ます。

過去の実績(トラックレコード)と業務内容を聞いて、案件をやりき
るのに十分な経験・スキルがあるかどうか判断しましょう。

ということで、初めの問いは、

・顧問税理士・公認会計士に相談しますか?
→税理士に聞いても、提携先のアドバイザーを連れて来るだけかもしれない。

・取引銀行に聞きますか?
→取り扱ってくれないかもしれない。

・売却に成功した知り合いの経営者に紹介してもらいますか?
→業種が違って、ネットワークが無いかもしれない。

という結果になり、ベストなアドバイザーでは無いかもしれません。

M&Aによる事業売却をお考えの方は、是非、良いアドバイザーを選んで、
事業を最大限に評価してもらえる買手を探して、案件を成功させてくだ
さい。

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