種類株とストックオプション

stockoption

VCから資金調達をする際、種類株で行われている事が一般的になっています。

それに伴って、VCからの資金調達後の税制適格ストックオプション、有償新株予約権
の評価をどうすればいいのか、クライアントから聞かれる事があります。

種類株でVCから調達した場合、もちろん種類株の時価はVCへの発行価額になります。

ただし、役員や従業員を対象にして発行するストックオプション・新株予約権は、
「普通株」を購入出来る権利として設計するので、「種類株」の時価とは別に
「普通株」の時価を算定する必要があります。

そのためには、種類株に付いている権利をチェックする必要があります。

通常は、ドラッグ・アロング、ダウンラウンドへの調整等いろいろな権利が付いてい
ますが、キャッシュフローに影響を与え、評価モデルに組み込むものとして主なもの
は、みなし清算条項(M&Aによる売却時に優先分配する権利)です。

これは、M&Aが発生した場合を「清算」とみなし、種類株主はその対価を「残余財産」
とみなし「残余財産」から優先的に発行価額の何倍かを受け取ることができるという
ものです。

評価の観点からすると、種類株の時価=普通株の時価+優先分配のオプション価格とい
う関係になり、具体的な計算としては、まず会社全体の企業評価を行って、その次に
種類株の優先権のオプションを評価し、残りが普通株の価値になります。

結果として、優先株の時価>普通株の時価になるため、
ストックオプションの権利行使価格=普通株式の時価とすれば、
優先株の時価より低い権利行使価格で税制適格ストックオプションを発行する事が
できます。

優先株、種類株の評価は、顧問の税理士・会計事務所もしくは専門の算定機関にお問
い合わせください。

(参考文献)
経済産業省:未上場企業が発行する種類株式に関する報告書
日本公認会計士協会:経営研究調査会研究報告第53号「種類株式の評価事例」

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