ストックオプション・新株予約権評価

stockoption

資金調達のご相談とともに合わせて、ストックオプションについて問い合わせが増えています。

特に、お問い合わせが多いのが、

1.エグジットとしてIPOではなくて売却を考えている
2.IPOを目指していて、社長の持ち株比率・インセンティブのためにストックオプションを発行したいが、社長の持分比率が1/3超のため、税制適格ストックオプションが発行出来ない

ケースで、顧問税理士がストックオプションに対応していないということで、相談を受ける機会が増えました。

無償のストックオプションで、税制適格要件を満たさない場合は、権利行使時に給与所得として課税されるため、

a.キャッシュインもしていないのに課税される
b.役員報酬が大きい場合は所得税の税率も高くなる

というデメリットがあります。

しかし、新株予約権を有償発行(時価発行)することで、権利行使時には給与所得として課税されず、有価証券の取得として扱われ、株式の売却時に株式の譲渡益が課税されます。

つまり、税制非適格のストックオプションに比べると、

a’キャッシュインしてからの課税になる
b’株式の譲渡益課税(20%)となる

ため、現行制度下において、新株予約権の有償発行は税務上メリットを享受出来ます。

ただし、新株予約権の有償発行については、下記の3つの問題があります。

A.新株予約権の公正価値を評価できる算定機関が少ない
B.新株予約権の発行価格が高くなる
C.著しく低い発行価額では新株予約権の低廉発行として税務上のリスクがあるため、合理的に価値を下げるには、新株予約権の制度設計を行う必要がある

A.税制適格ストックオプションは無償で付与を受けることができるのに対し、新株予約権の有償発行では発行価格を計算する必要があります。特に新株予約権の時間的価値の計算は、金融工学の知識が必要となるため、会計事務所(税理士・会計士)で対応できるところが少なく、通常は専門の算定機関に依頼する必要があります。

B.行使条件をつけないプレーンなタイプの新株予約権は、発行価格が高くなり、普通株式の価格の50%以上になるケースも良くあります。スタートアップの創業者は資金に余裕がないケースがほとんどなので、高い発行価格を受け入れるのは困難です。

C.従って、新株予約権を有償発行する場合では、発行価格の引き下げを検討することが重要となります。しかし発行価格を恣意的に引き下げた場合、新株予約権の低廉発行として税務上のリスクが大きくなります。そこで、新株予約権の設計を行うことで、合理的に新株予約権の価値を下げることが行われています。たとえば、株価が一定以上にならないと権利行使ができない、あるいは、株価が一定以下になると権利を喪失するという条項をつけることで、新株予約権の価値を引き下げることが可能になります。

新株予約権の有償発行をお考えの方は、会計事務所の顧問税理士に相談されて、新株予約権の価格算定や設計に対応されていない場合は、専門の算定機関に依頼されると良いと思います。

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