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2026.09.26(土)

iPhone Duo・18 Proは経費?|少額減価償却資産の特例【税理士が解説】

【令和8年度税制改正について】 中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、対象となる取得価額の上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。令和8年4月1日以後に取得したものが対象です。

TAX & ACCOUNTING

iPhone Duo・18 Proは
経費で落とせる?

40万円に引き上げられた少額減価償却資産の特例を、
実際の価格と経理方式ごとに判定しました

「これは買った期に、全額経費にできますか」。2026年9月にiPhone 18 Pro/Pro Maxが発売されて以降、クライアントから最もよくいただくご質問のひとつです。10月23日にはApple初の折りたたみiPhone「iPhone Duo」が続きます。

iPhone Duoは256GBモデルで364,800円、最上位の2TBモデルは574,800円(いずれも税込)。ここ数年のスマートフォンの中でも、際立って高額な製品です。

答えはモデルによって分かれます。そして今年は、判定のルールそのものが変わりました。令和8年度の税制改正で、基準が1台30万円未満から40万円未満に引き上げられたからです。改正前の基準のままなら、iPhone Duoはどのモデルも対象になりませんでした。

以下の3つのポイントと、フローチャートを参考に、自社の判定にお役立てください。

POINT 01

1台あたりの価格で判定する

iPhone Duo → 256GB・512GBが対象 / iPhone 18 Pro → 2TB以外が対象

中小企業者等が取得価額40万円未満の減価償却資産を取得し、事業の用に供した場合、1事業年度あたり合計300万円を限度として、取得価額の全額をその期の損金に算入できます。「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」と呼ばれる制度です。

押さえるべき条件は2つ。1台あたり40万円未満であることと、1事業年度の合計が300万円以内であること。このどちらも満たす必要があります。

まず1台あたりの価格を、40万円のラインに並べてみます。

40万円のラインと、各モデルの価格

価格は税込。Appleストア価格(2026年9月時点)

40万円

iPhone Duo

256GB364,800円
512GB399,800円
1TB469,800円
2TB574,800円

iPhone 18 Pro

256GB219,800円
512GB254,800円
1TB324,800円
2TB429,800円

iPhone 18 Pro Max

256GB239,800円
512GB274,800円
1TB344,800円
2TB449,800円
特例の対象になります 経理方式によって分かれます 対象外です

ラインをまたいでいるのがiPhone 18 Proの2TBモデルです。税込429,800円で40万円を超えていますが、税抜で判定すると40万円を下回ります。この点はPOINT 02で詳しく説明します。

モデル価格(税込)税抜換算判定
iPhone Duo 256GB364,800円331,636円対象
iPhone Duo 512GB399,800円363,454円対象
iPhone Duo 1TB469,800円427,090円対象外
iPhone Duo 2TB574,800円522,545円対象外
iPhone 18 Pro 256GB219,800円199,818円対象
iPhone 18 Pro 512GB254,800円231,636円対象
iPhone 18 Pro 1TB324,800円295,272円対象
iPhone 18 Pro 2TB429,800円390,727円条件付き
iPhone 18 Pro Max 256GB239,800円218,000円対象
iPhone 18 Pro Max 512GB274,800円249,818円対象
iPhone 18 Pro Max 1TB344,800円313,454円対象
iPhone 18 Pro Max 2TB449,800円408,909円対象外

ここがポイント

改正前の基準なら、対象外だったモデルがあります

改正前の上限は1台30万円未満でした。iPhone Duoは最も安い256GBモデルでも税抜331,636円ですから、旧基準ではどのモデルも特例を使えませんでした。40万円への引き上げによって、はじめて下位2モデルが対象に入ったことになります。

iPhone 18 Pro Maxの1TB(税抜313,454円)も同様です。旧基準では30万円を超えていたため対象外でしたが、今年から対象になりました。

なお、ここでの判定はカタログ価格に基づくものです。値引きや下取りがある場合、実際の取得価額はこの金額と異なります。判断に迷われる際は、顧問税理士にご確認ください。

POINT 02

経理方式によって、判定の線が4万円動く

税抜経理 → 税込439,999円まで / 税込経理・免税事業者 → 税込399,999円まで

取得価額が40万円未満かどうかは、その会社が採用している消費税の経理方式に従って判定します。税抜経理なら税抜金額で、税込経理なら税込金額で判定します。消費税の免税事業者は税込経理しか選べないため、税込金額での判定になります。この取扱いは、国税庁のタックスアンサー No.5403に例示されています。

これを「店頭で支払う金額」に置き換えると、こうなります。

課税事業者・税抜経理

〜439,999円

税抜40万円未満で判定するため、支払額ベースでは約44万円までが対象になります。
iPhone 18 Pro 2TBも、この方式なら対象です。

課税事業者・税込経理/免税事業者

〜399,999円

税込40万円未満で判定します。免税事業者は税込経理しか選べないため、こちらになります。
iPhone 18 Pro 2TBは対象外です。

同じ物を買っても、経理方式によって線が4万円動きます。 そしてiPhone 18 Proの2TBモデル(税込429,800円)は、ちょうどその差の中に入りました。

自社がどちらの経理方式かは、決算書や仕訳に「仮払消費税」という科目があるかどうかで判断できます。この科目があれば税抜経理です。

なお40万円への引き上げは、令和8年4月1日以後に取得したものから適用されます。今回のiPhoneはいずれも9月以降の発売ですので、40万円未満で判定して差し支えありません。ただし同じ期の3月以前に購入した資産は、改正前の30万円未満が基準になります。3月決算以外の会社では、この点を取り違えないようご注意ください。

10万円・20万円の区分は、これまでどおりです

今回の改正で動いたのは40万円のラインだけで、それ以外の区分は変わっていません。

取得価額処理の方法
10万円未満全額を損金算入(消耗品費など)
10万円以上20万円未満一括償却資産として3年間で均等償却、または少額減価償却資産の特例
20万円以上40万円未満少額減価償却資産の特例(年300万円まで)、または通常の減価償却
40万円以上通常の減価償却

自社の経理方式がどちらか分からない場合や、事業年度の途中で基準が切り替わる会社の判定については、顧問税理士にご確認ください。

POINT 03

1事業年度で300万円までという上限がある

1台ごとの判定とは別に、年間合計の枠があります

1台あたりの金額の条件を満たしていても、それだけで使えるわけではありません。実務で確認が必要になるのは、次の3点です。

  • 1事業年度の合計が300万円までこの特例で損金算入できるのは、1事業年度あたり合計300万円までです。1台ごとの判定と、年間合計の判定は別物とお考えください。iPhone 18 Proの256GBなら13台で2,857,400円、iPhone Duoの256GBなら8台で2,918,400円となり、いずれも枠をほぼ使い切ります。期中にパソコンや什器を購入している場合は、残りの枠を確認してからのご判断になります。事業年度が1年に満たない場合は、月数按分で上限が下がります。
  • 中小企業者等であり、青色申告書を提出していることこの特例の正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。名前のとおり、まず中小企業者等に該当していることが前提になります。資本金の額または出資金の額が1億円以下であること、常時使用する従業員数が400人以下であることなどが要件です。そのうえで青色申告書を提出している必要があり、白色申告では適用がありません。なお、貸付けの用に供する資産(主要な事業として行うものを除く)は対象から外れます。
  • 3月以前に買った資産は、30万円未満が基準40万円の基準が使えるのは、令和8年4月1日以後に取得したものです。今回のiPhoneは対象ですが、同じ期でも3月以前に購入した資産は30万円未満で判定します。3月決算以外の会社では、この2つを混同しないようご確認ください。

申告のときに必要な手続き

区分必要な手続き
法人取得価額を損金経理したうえで、確定申告書に明細書(別表16(7))と適用額明細書を添付します
個人事業主青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄の摘要に「措法28の2」と記載します

制度の適用期間は2029年3月31日までとされています。

年間300万円の枠は、期の途中で把握しておかないと使い切りに気づきにくい部分です。期末に向けた設備投資の順序も含めて、顧問税理士にご確認ください。

どう処理する? 判定フローチャート

① 消費税の経理方式は、どちらですか?
税抜経理税込439,999円までが対象。
iPhone 18 Pro 2TBもここに入ります
税込経理・免税事業者税込399,999円までが対象。
iPhone 18 Pro 2TBは対象外です
▼
② その事業年度に購入した少額資産の合計は、300万円以内ですか?
はい取得価額の全額を、その期の経費にできます
いいえ300万円に達するまでを特例で処理し、超えた分は通常の減価償却になります
▼
このほか、そもそも中小企業者等に該当していることが前提です。資本金1億円以下・常時使用する従業員数400人以下などの要件を満たし、かつ青色申告書を提出している必要があります。白色申告の場合は適用がありません。

※ このフローは、令和8年4月1日以後に取得した資産を前提としています。同じ期でも3月以前に取得した資産は、改正前の30万円未満で判定します。

実際の処理は、必ず顧問税理士にご確認ください

本記事は制度の一般的な取扱いを整理したものです。実際に適用できるかどうかは、会社の経理方式・事業年度・青色申告の有無・その期にすでに購入した資産の状況などによって変わります。表とフローチャートはあくまで目安としてご覧いただき、処理を決められる前に、必ず顧問税理士にご確認ください。

よくいただくご質問

キャリアの分割払いで購入した場合、判定はどうなりますか。
分割払いであっても、判定に使うのは支払総額(本体価格の全額)です。毎月の支払額で判定するわけではありません。事業の用に供した時点で、取得価額の全額を損金算入することになります。なお分割手数料が明示されている場合、その部分は取得価額に含めず、支払利息等として期間に応じて処理します。
ケースやAppleCare+の代金は、本体価格に含めて判定しますか。
ケースやフィルムなど、それ自体が独立して機能する付属品は、通常は本体と切り離して判断します。少額であれば消耗品費として処理することが一般的です。AppleCare+のような保証サービスの料金は資産の取得価額ではなく、契約期間に応じた費用として処理します。
個人事業主です。事業でも私用でも使う場合はどうなりますか。
事業で使用する割合に応じて按分し、事業供用分のみが必要経費になります。40万円未満かどうかの判定は按分前の取得価額で行いますが、経費にできるのは事業供用割合を乗じた金額です。按分の根拠として、使用状況のメモなど説明できる資料を残しておくことをおすすめします。
対象外になったモデルは、どのように処理しますか。
40万円以上となるため、工具器具備品として資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却します。携帯電話の法定耐用年数は4年です。期の途中で購入した場合は、事業の用に供した月から月数按分して償却費を計算します。
300万円の枠を超えて購入した場合、超えた分はどうなりますか。
300万円に達するまでの資産について特例を適用し、それを超える部分は通常の減価償却になります。どの資産に特例を使うかは選択できますので、耐用年数の長いものから優先して特例を使うほうが、一般に有利になります。期末が近い時期の購入では、この順序も含めてご相談いただければと思います。
決算期が3月ではありません。今期の判定はどうなりますか。
取得日が令和8年4月1日以後かどうかで判定します。たとえば12月決算であれば、同じ事業年度の中でも1月から3月の取得分は30万円未満、4月以後の取得分は40万円未満が基準になります。固定資産台帳を取得日で区切って確認しておくと安全です。

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AUTHOR

神宮 明彦(Akihiko Jingu)

税理士 / 神宮前あおば税理士法人 代表パートナー

freee 5つ星認定アドバイザー MF クラウド プラチナメンバー EY税理士法人 出身 上場企業 社外取締役

EY税理士法人でグローバル企業・大手上場企業の税務実務を経験後、2018年に神宮前あおば税理士法人を設立。freee 5つ星認定アドバイザー・マネーフォワード クラウドプラチナメンバーとして、スタートアップ・外資系企業を中心に150社以上のクラウド会計導入・税務支援を担当。ベンチャー企業の創業期から上場準備フェーズまで、税務・会計・資金調達を一貫してサポート。

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参考・引用情報

  1. 中小企業庁「少額減価償却資産の特例を拡充しました」(令和8年5月作成)
    https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/pamphlet/syougaku_shisan.pdf
  2. 中小企業庁「少額減価償却資産の特例」
    https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/syougaku_shisan.html
  3. 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
  4. 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm
  5. 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
    https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_03.htm
  6. ITmedia NEWS「『iPhone Duo』発表 Apple初の折りたたみスマホ 36万4800円から」
    https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/10/2000001335/
  7. ケータイ Watch「アップルが『iPhone 18 Pro』と『iPhone 18 Pro Max』発表、9月18日発売」
    https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2139670.html

※ 本記事の情報は2026年9月時点のものです。製品価格および税制は変更される場合があります。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を行うものではありません。実際の会計処理・税務申告にあたっては、必ず顧問税理士にご確認ください。本記事の情報に基づいて行われた判断について、当事務所は責任を負いかねます。

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