TAX & ACCOUNTING
iPhone Duo・18 Proは
経費で落とせる?
40万円に引き上げられた少額減価償却資産の特例を、
実際の価格と経理方式ごとに判定しました
「これは買った期に、全額経費にできますか」。2026年9月にiPhone 18 Pro/Pro Maxが発売されて以降、クライアントから最もよくいただくご質問のひとつです。10月23日にはApple初の折りたたみiPhone「iPhone Duo」が続きます。
iPhone Duoは256GBモデルで364,800円、最上位の2TBモデルは574,800円(いずれも税込)。ここ数年のスマートフォンの中でも、際立って高額な製品です。
答えはモデルによって分かれます。そして今年は、判定のルールそのものが変わりました。令和8年度の税制改正で、基準が1台30万円未満から40万円未満に引き上げられたからです。改正前の基準のままなら、iPhone Duoはどのモデルも対象になりませんでした。
以下の3つのポイントと、フローチャートを参考に、自社の判定にお役立てください。
POINT 01
1台あたりの価格で判定する
iPhone Duo → 256GB・512GBが対象 / iPhone 18 Pro → 2TB以外が対象
中小企業者等が取得価額40万円未満の減価償却資産を取得し、事業の用に供した場合、1事業年度あたり合計300万円を限度として、取得価額の全額をその期の損金に算入できます。「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」と呼ばれる制度です。
押さえるべき条件は2つ。1台あたり40万円未満であることと、1事業年度の合計が300万円以内であること。このどちらも満たす必要があります。
まず1台あたりの価格を、40万円のラインに並べてみます。
40万円のラインと、各モデルの価格
価格は税込。Appleストア価格(2026年9月時点)
iPhone Duo
iPhone 18 Pro
iPhone 18 Pro Max
ラインをまたいでいるのがiPhone 18 Proの2TBモデルです。税込429,800円で40万円を超えていますが、税抜で判定すると40万円を下回ります。この点はPOINT 02で詳しく説明します。
| モデル | 価格(税込) | 税抜換算 | 判定 |
|---|---|---|---|
| iPhone Duo 256GB | 364,800円 | 331,636円 | 対象 |
| iPhone Duo 512GB | 399,800円 | 363,454円 | 対象 |
| iPhone Duo 1TB | 469,800円 | 427,090円 | 対象外 |
| iPhone Duo 2TB | 574,800円 | 522,545円 | 対象外 |
| iPhone 18 Pro 256GB | 219,800円 | 199,818円 | 対象 |
| iPhone 18 Pro 512GB | 254,800円 | 231,636円 | 対象 |
| iPhone 18 Pro 1TB | 324,800円 | 295,272円 | 対象 |
| iPhone 18 Pro 2TB | 429,800円 | 390,727円 | 条件付き |
| iPhone 18 Pro Max 256GB | 239,800円 | 218,000円 | 対象 |
| iPhone 18 Pro Max 512GB | 274,800円 | 249,818円 | 対象 |
| iPhone 18 Pro Max 1TB | 344,800円 | 313,454円 | 対象 |
| iPhone 18 Pro Max 2TB | 449,800円 | 408,909円 | 対象外 |
ここがポイント
改正前の基準なら、対象外だったモデルがあります
改正前の上限は1台30万円未満でした。iPhone Duoは最も安い256GBモデルでも税抜331,636円ですから、旧基準ではどのモデルも特例を使えませんでした。40万円への引き上げによって、はじめて下位2モデルが対象に入ったことになります。
iPhone 18 Pro Maxの1TB(税抜313,454円)も同様です。旧基準では30万円を超えていたため対象外でしたが、今年から対象になりました。
なお、ここでの判定はカタログ価格に基づくものです。値引きや下取りがある場合、実際の取得価額はこの金額と異なります。判断に迷われる際は、顧問税理士にご確認ください。
POINT 02
経理方式によって、判定の線が4万円動く
税抜経理 → 税込439,999円まで / 税込経理・免税事業者 → 税込399,999円まで
取得価額が40万円未満かどうかは、その会社が採用している消費税の経理方式に従って判定します。税抜経理なら税抜金額で、税込経理なら税込金額で判定します。消費税の免税事業者は税込経理しか選べないため、税込金額での判定になります。この取扱いは、国税庁のタックスアンサー No.5403に例示されています。
これを「店頭で支払う金額」に置き換えると、こうなります。
課税事業者・税抜経理
〜439,999円
税抜40万円未満で判定するため、支払額ベースでは約44万円までが対象になります。
iPhone 18 Pro 2TBも、この方式なら対象です。
課税事業者・税込経理/免税事業者
〜399,999円
税込40万円未満で判定します。免税事業者は税込経理しか選べないため、こちらになります。
iPhone 18 Pro 2TBは対象外です。
同じ物を買っても、経理方式によって線が4万円動きます。 そしてiPhone 18 Proの2TBモデル(税込429,800円)は、ちょうどその差の中に入りました。
自社がどちらの経理方式かは、決算書や仕訳に「仮払消費税」という科目があるかどうかで判断できます。この科目があれば税抜経理です。
なお40万円への引き上げは、令和8年4月1日以後に取得したものから適用されます。今回のiPhoneはいずれも9月以降の発売ですので、40万円未満で判定して差し支えありません。ただし同じ期の3月以前に購入した資産は、改正前の30万円未満が基準になります。3月決算以外の会社では、この点を取り違えないようご注意ください。
10万円・20万円の区分は、これまでどおりです
今回の改正で動いたのは40万円のラインだけで、それ以外の区分は変わっていません。
| 取得価額 | 処理の方法 |
|---|---|
| 10万円未満 | 全額を損金算入(消耗品費など) |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産として3年間で均等償却、または少額減価償却資産の特例 |
| 20万円以上40万円未満 | 少額減価償却資産の特例(年300万円まで)、または通常の減価償却 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却 |
自社の経理方式がどちらか分からない場合や、事業年度の途中で基準が切り替わる会社の判定については、顧問税理士にご確認ください。
POINT 03
1事業年度で300万円までという上限がある
1台ごとの判定とは別に、年間合計の枠があります
1台あたりの金額の条件を満たしていても、それだけで使えるわけではありません。実務で確認が必要になるのは、次の3点です。
- 1事業年度の合計が300万円までこの特例で損金算入できるのは、1事業年度あたり合計300万円までです。1台ごとの判定と、年間合計の判定は別物とお考えください。iPhone 18 Proの256GBなら13台で2,857,400円、iPhone Duoの256GBなら8台で2,918,400円となり、いずれも枠をほぼ使い切ります。期中にパソコンや什器を購入している場合は、残りの枠を確認してからのご判断になります。事業年度が1年に満たない場合は、月数按分で上限が下がります。
- 中小企業者等であり、青色申告書を提出していることこの特例の正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。名前のとおり、まず中小企業者等に該当していることが前提になります。資本金の額または出資金の額が1億円以下であること、常時使用する従業員数が400人以下であることなどが要件です。そのうえで青色申告書を提出している必要があり、白色申告では適用がありません。なお、貸付けの用に供する資産(主要な事業として行うものを除く)は対象から外れます。
- 3月以前に買った資産は、30万円未満が基準40万円の基準が使えるのは、令和8年4月1日以後に取得したものです。今回のiPhoneは対象ですが、同じ期でも3月以前に購入した資産は30万円未満で判定します。3月決算以外の会社では、この2つを混同しないようご確認ください。
申告のときに必要な手続き
| 区分 | 必要な手続き |
|---|---|
| 法人 | 取得価額を損金経理したうえで、確定申告書に明細書(別表16(7))と適用額明細書を添付します |
| 個人事業主 | 青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄の摘要に「措法28の2」と記載します |
制度の適用期間は2029年3月31日までとされています。
年間300万円の枠は、期の途中で把握しておかないと使い切りに気づきにくい部分です。期末に向けた設備投資の順序も含めて、顧問税理士にご確認ください。
どう処理する? 判定フローチャート
iPhone 18 Pro 2TBもここに入ります
iPhone 18 Pro 2TBは対象外です
※ このフローは、令和8年4月1日以後に取得した資産を前提としています。同じ期でも3月以前に取得した資産は、改正前の30万円未満で判定します。
実際の処理は、必ず顧問税理士にご確認ください
本記事は制度の一般的な取扱いを整理したものです。実際に適用できるかどうかは、会社の経理方式・事業年度・青色申告の有無・その期にすでに購入した資産の状況などによって変わります。表とフローチャートはあくまで目安としてご覧いただき、処理を決められる前に、必ず顧問税理士にご確認ください。
よくいただくご質問
キャリアの分割払いで購入した場合、判定はどうなりますか。
ケースやAppleCare+の代金は、本体価格に含めて判定しますか。
個人事業主です。事業でも私用でも使う場合はどうなりますか。
対象外になったモデルは、どのように処理しますか。
300万円の枠を超えて購入した場合、超えた分はどうなりますか。
決算期が3月ではありません。今期の判定はどうなりますか。
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参考・引用情報
- 中小企業庁「少額減価償却資産の特例を拡充しました」(令和8年5月作成)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/pamphlet/syougaku_shisan.pdf - 中小企業庁「少額減価償却資産の特例」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/syougaku_shisan.html - 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm - 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm - 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_03.htm - ITmedia NEWS「『iPhone Duo』発表 Apple初の折りたたみスマホ 36万4800円から」
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/10/2000001335/ - ケータイ Watch「アップルが『iPhone 18 Pro』と『iPhone 18 Pro Max』発表、9月18日発売」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2139670.html
※ 本記事の情報は2026年9月時点のものです。製品価格および税制は変更される場合があります。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を行うものではありません。実際の会計処理・税務申告にあたっては、必ず顧問税理士にご確認ください。本記事の情報に基づいて行われた判断について、当事務所は責任を負いかねます。
※ 本記事の内容・図表の無断転載・利用を禁じます。